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前・振分親方「大相撲型破り交遊録」


今日は最近店頭で見つけた本を紹介。

大相撲 型破り交遊録大相撲 型破り交遊録
(2010/01)
笹木 淳二

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少し前に相撲協会を定年退職した、前・振分親方(元幕内・朝嵐)の回想録。
朝嵐、といわれてピンと来る人は少ない、というか私も分からなかった。
実はこの人。

wiki「踏み出し」の項目中「有名な対戦」より

十両での朝嵐-和晃、1968年9月場所初日。
制限時間いっぱいになったが、朝嵐は土俵内にごみが落ちていた為、待ったをかけて土俵の外へ出て捨てた。しかし、その行為に物言いがつき、審議の結果「時間いっぱいの後に土俵を出たため戦意無しとみて反則負け」となった。朝嵐は納得がいかなかった為後で審判室で抗議したが決定が覆ることは無かった。



大相撲の逸話を集めた本には決まって登場するエピソード。
このときゴミを拾って負けにされたのが著者である。
引退後は高砂部屋付きの親方として、
現役時代から通算すると直近四代の高砂に仕えてきた人物。
(横綱前田山、横綱朝潮、小結富士錦、大関朝潮)

読みどころは多々あるが、
部屋の番頭役として、力士たちのタニマチ集めに奮闘する姿が個人的には印象深い。
あらたなタニマチをつかまえたときのエピソード。

私は元高見山の先代東関とも気心を通じていた関係で、
彼の弟子だった横綱曙の後援者探しにも手を貸し、
ゴルフ場などを経営している加藤正見社長(故人)にお願いすることができました。

口説き落とす過程で、加藤社長が、
「後援会長って、いくらぐらいかかるものですか」
と聞くので、
「そうですね、1場所ウン百万円でしょう」
と私はさりげなく答えました。

ウン百万円は少し吹っかけ過ぎですが、それに近い額がかかるのは確かです。
横綱は部屋の大事な米びつ(稼ぎ頭)です。
たとえば後援会長が千秋楽にウン百万円包んできたとすると、
親方は肝心な横綱だけでなく、
その一部を部屋の維持運営費にまわしたり、
下積みの序ノ口力士や床山、呼び出しなどの裏方に至るまで配布するんですから。
相撲部屋は共存共栄、1人の力士だけでなく、みんなで成り立っているんです。

私の答えを聞いて、加藤社長は、
「エッ」と一瞬、息を飲みました。
きっと想像していた以上に金がかかるもんだな、
と内心ビックリしたことでしょう。
しかし、最終的には快く後援会長を引き受けてくれましたので、
毎場所、ウン百万円はともかく、
それに近い額を東関部屋に届け続けたはずです。



このあたりは当事者の語る言葉だけに生々しい。
素人と見てふっかける角界の人間のやり方がよく分かる。
力士の後援など、野球やサッカーのスポンサーとは違って
表に看板の出るものではない。
基本的には社長の道楽なのだろう。
それでウン百万円の金が動く。
まあ私のような貧乏人からすると、
少し社員に廻してやればいいんじゃないのと思わないでもないが、
それは本題ではないか。

ともあれ、こうして後援会から
親方のもとを経由した後、やっと力士に金が入る。
ここで親方のピンハネが過ぎて、弟子と不仲に…というのはよく聞く話。
「相撲部屋は共存共栄」という言葉もまた事実なのだろうけれど、
本では小錦の被害を克明に記している。

小錦が優勝したときのこと。
タニマチから祝儀を現金封筒で送ったと連絡があったが、
いつになっても現物が来ない。
将来の独立を考えていた小錦には大切な資金で、
相談を受けた著者は元富士錦の当時の高砂親方に尋ねたところ

「ちょっ、ちょっと待て」
というとあわてて奥に駆け込み、
間もなく開封され封筒に入ったお金を持ってきました。

個人名で届いた郵便物を勝手に開封するのは明らかに法律違反です。
6代目高砂は、
「オレは封を破っていない。
ただ、オレのところに着いた郵便物の中にこういう状態で交じっていたので、
なんのお金だろうと思って保管していただけだ」
と主張しましたが、
現金封筒が開封された状態で配達されるはずがありませんから、
誰かがやっているはずです。


結局この事件は小錦の付け人が責任を取らされクビとなり、表向きは落着する。
しかしこの付け人は現在小錦の事務所で社長を務めており、
小錦はすべてを了解して彼を引き取ったのだとか。

小錦は同著の帯に
「前・振分親方の書いたことはすべて真実です」と
わざわざ言葉を寄せているくらいであるから、
この件も含めて廃業に当たっては何かと無念があるのだろう。

ファンとして相撲界を見ていると、
下のものの指導で評判のいい力士や
相当な実績のある力士がどういう訳か引退後角界を去り、
風聞の限りではあるが、なぜこの人がと思うような人物が残っていたりする。
そのあたりの諸事情が垣間見えてくるのが、この本の面白さ(?)か。

他にも、自分が最後に仕えた現高砂親方に関しては、
朝青龍に対する指導の拙さや周囲に対する気遣いのなさを批判するなど、
全体の基調は暴露本のソレである。
その割にはあまり話題にならなかったな、と感じだのだが、
この本の発行日は奥付をみると、今年の1月末。
直後、記憶に新しい朝青龍の電撃引退があったため、
マスメディアも高砂部屋を叩く動機がなくなってしまったのだ。
著者はあてが外れたかも知れないが、親方は胸を撫で下ろしているかもしれない。

この本は内容としてはスキャンダラスなもの。
しかし言い分は双方にあろうから、著者の言を鵜呑みにして
簡単に当代、先代の高砂を素人が非難するのはやめておきたい。
むしろ個々人の私怨の背後にあるのは、大相撲という極めて非合理的な世界である。
何かと考えさせられる一冊。




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テーマ : 大相撲
ジャンル : スポーツ

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プロフィール

うぃぬっ

Author:うぃぬっ
相撲の好きな犬。新潟県在住。近眼。千代の富士の時代に相撲を見始め、若貴時代はヒネくれていたのであまり見ず、朝青龍のときにまた見始めて現在に至る。

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