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死蔵される出世名

五月場所は小結で12勝、七月場所は関脇で10勝をマークし、
来たる九月場所は大関取りのかかる鶴竜。
通例ならば11勝で昇進となる。

先場所は通算四度目の関脇で、はじめて勝ち越した場所でもあった。
それだけに、じわじわと付けてきた地力がようやく花開いた印象。
かねてから逸材として定評はあっただけに、
ブレイクを待ちかねた周囲もここへきて盛り上がっているようすだが。

逆鉾襲名の声も…大関獲りの鶴竜「しこ名変えない」(スポニチ)

秋場所で大関獲りに挑む鶴竜(26)が引退するまでしこ名を変えないことを宣言した。

大関昇進を機に、師匠・井筒親方(元関脇)も名乗った部屋伝統のしこ名「逆鉾(さかほこ)」を襲名すべきとの声も出ているが、秋場所に向けて稽古を再開したこの日「鶴竜という力士がいたということを残したい」と否定。勝負の場所に向けては「自分には何も懸かっていないという気持ちでいたい」と平常心を貫くことを誓った。 〔2011年8月16日 06:00〕


歴史のある部屋には伝統の四股名がある。
しかし外国出身の力士がそれらを継ぐというケースは少ない。
おそらく彼らが引退後角界を離れてしまった場合、
名が途絶えてしまうことを考えての措置なのだろう。

昇り調子のころの期待やその後の実績からいえば、
朝青龍などは高砂伝統の「朝潮」を襲名しても当然よかった。
かつての安馬も大関昇進時、改名が取りざたされ、
伊勢ヶ濱部屋のかつての名力士である照国、清国といった名もあがったが、
けっきょくハルマフジという珍妙な四股名に落ちついた。
(しかし二年半も経つといつの間にか馴染んでいるから不思議だ)
いずれも国籍や、将来を考えての選択なのだろう。

大相撲というのは、いま現在の、力士の戦いぶりそれだけでも面白いが、
ここに力士それぞれの背後にある歴史や伝統が重なると、
より興味深いドラマが生まれてくる。

大人のファンが子供のころに親しんだ四股名や、
名鑑などでしか知らない大昔の四股名などが、代々の系譜をたどって現代によみがえる。
これが相撲好きには楽しい。

若貴フィーバーが典型だったろう。
若花田、貴花田という四股名は今おもうと絶妙だった。
やがてこの二人が名力士である叔父や父親の名を継ぐことを暗示し、
期待通り実現されてゆく過程にみなが酔いしれた。

私が相撲を見始めたころ、今の錣山親方が突然、
「源氏山」を名乗ったことがある。
井筒部屋が大正時代に生んだ横綱の四股名なのだが、
私にとっては、子供向けの相撲百科に登場する古ボケた写真の人の名であった。
そんな四股名が現代の番付に再びポンと出てきた。
すげえすげえと幼心に興奮したのを覚えている。
もっとも新しい源氏山はちっとも勝てなくて、
さっさと元の寺尾に戻ってしまったのだけど。

ともあれ、こうしたことを考えると
「鶴竜という力士がいたということを残したい」というコメントは何とも寂しい。
歴史の中に一点の名力士として残ることもいいだろうが、
過去から未来へとつながってゆく連綿とした流れもまた大相撲の魅力であるのに。

鶴竜の意志が自発的なものなのか、親方の考えを汲んだものなのか、
記事だけでは分からない。
ただ、昔のヤンチャ坊主のような逆鉾を知るファンにとって
興ざめな結論であることは間違いないだろう。
昔は相撲を見たけれど、最近は気が向かないという人も多い。
そんな人たちに「おおっ、こいつが新しい逆鉾か」と目を向けさせる
せっかくのチャンスをつぶす行為でもある。

もちろん、ガイジンが逆鉾なんてつまらん、という声も上がるかもしれない。
しかし組んでよし、離れてよし、
双差しとなればお尻をプリッとさげて井筒スタイルで寄り立てる鶴竜の相撲は、
そんなドメスティックな思いを払拭するだけの魅力に溢れている。

また鶴竜が仮に将来角界に残らないとしても、
四股名はかならずしも師弟直伝で継がねばならないものでもあるまい。
遠い将来の井筒が、部屋伝来の名としてまた新たな有望力士に逆鉾の名を授けても、
特に問題はないはずだ。

伝統ある四股名、由緒ある出世名は歴史ある大相撲ならではの財産だ。
上がってくる力士が外国人ばかりだからといって、
それらが死蔵されていく現状はあまりに惜しくはないか。

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テーマ : 大相撲
ジャンル : スポーツ

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プロフィール

うぃぬっ

Author:うぃぬっ
相撲の好きな犬。新潟県在住。近眼。千代の富士の時代に相撲を見始め、若貴時代はヒネくれていたのであまり見ず、朝青龍のときにまた見始めて現在に至る。

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