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文芸春秋十月号・白鵬インタビューを読む(2)

昨日に引き続き白鵬のインタビュー記事から。

このインタビューは7月場所後におこなわれたもの。
当然、例の不祥事で協会が天皇賜杯を辞退した件にも話が及んでいる。
賜杯のない表彰式に、優勝力士の白鵬は涙を流していた。

「天皇賜杯をなくすとかさ、相撲が国技でなくなっちゃいますよね。
それを勝手に無くしてということはね、国技を自分たちでつぶそうとしている、
この国終わろうみたいな、そう言ってるように私は思ったの」



土俵上でひたむきに相撲を取り、勝ち続ける白鵬。
一相撲ファンとしては彼の活躍を素直に賞賛したいし、実際立派な横綱であるとも思う。
実績はすでに大横綱のそれであるし、人格や立ち居振る舞いも、
結果的に反面教師となった先輩の存在もあってか(?)見事なものだ。
だが一方で、私の中の狭量な部分は、モンゴルの青年が大相撲のトップに立ち、
双葉山の記録を塗りかえようとしていることに違和感を抱いてもいる。
彼の活躍をどう受けとめていいのか、正直迷うときもある。

特にこうしたコメントは、日本人の一番敏感な部分に触れているからか、
違和感が一層はなはだしいものになる。
天皇賜杯が無くなることは国技大相撲の根幹を失うことであり、
それはこの国の根幹をも失うことなのだ…
おそらくそうした事を白鵬は言っているのだろうが、
こうあっけらかんと言われると、若干の気恥ずかしさもある。
それはそうかも知れないけど、まあ建前の部分もあるだろうし…
あんまり大げさに言わないでよ、という思いもなくはない。

しかし一方、母国を離れわずか10年で、
異国の伝統芸能ともスポーツともつかない不可思議な世界で頂点を極めた青年に、
そんな微妙なメンタリティーを理解せよというのも無理な注文であるのは分かる。
なおかつ異文化を吸収しようとするその姿勢もあまりに真摯なだけに、
どうにも彼のことは否定しがたい。

「(モンゴル人は)歴史とか映画とかでチンギス・ハーンのことを学びます。
チンギス・ハーンはモンゴル(という国)の代表だし、王様だよね。
天皇陛下はこの国のシンボルであり、一番トップ。なくてはならないお方だと思います」



でもこういうコメントがあると、また難しい。
チンギス・ハーンと天皇とはちょっと違うんだけど…
まあシンボルといえばシンボルだからなあ、同じようなものかなあ、
でも違うよなあ…

「国技というのは、文化と伝統そのものでしょう。
モンゴルの国技は、ブフ(モンゴル相撲)だけじゃなくて、(競)馬、弓(射)の三つある。
相撲は、この国の伝統と文化に通じてると思うし。
お相撲さんは、ちょん髷付けてるわけですよ。
昔はサムライ(の国)ですからね。サムライであることを忘れちゃいけない。
天皇賜杯を抱いて終る。それが相撲ってことじゃないですか。
相撲がなくなれば、この国は終わると思ってるから」


「国が終わる」という表現は捉え方も様々だが、
ちょっと冷めた姿勢で彼の発言を捉えれば、
別に相撲が無くなったって日本が駄目になるわけないじゃん、とも思える。
アンチ大相撲で盛り上がる昨今の世論からすれば、
むしろ無くなってほしいと思う人も多いのかも知れない。
私は嫌だけど。

ただ大相撲が無くなれば、プロのスポーツは全て外国由来のものとなる。
それはどこか寂しいし、その寂しさが肝心なところなのかも知れない。
(百年も経って人が入れ代わればそれが当り前になるよ、という論もあるだろうが)

白鵬自身はどういう思いで、こうした大仰なセリフを言うのだろう。
白鵬は外国からやってきて、十年間ひたすら大相撲の世界で生きてきた人である。
数多くの日本人に対し、良い思いも悪い思いもあまた抱いてきたことだろう。
その中でもし彼が日本人の美徳のようなものを幾らかでも味わったなら、
それが心の中で土俵の美学と密接に結びついていったとしても、不思議ではない。
もし彼が日本人を素晴らしい国民だと感じているなら、
それが凝縮されたのが大相撲の世界なんだという信念を抱くのも自然なことだろう。

何だか難しいテーマに触れてしまったようで、とりあえず今日はここでおしまい。
ううむむ。
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テーマ : 大相撲
ジャンル : スポーツ

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プロフィール

うぃぬっ

Author:うぃぬっ
相撲の好きな犬。新潟県在住。近眼。千代の富士の時代に相撲を見始め、若貴時代はヒネくれていたのであまり見ず、朝青龍のときにまた見始めて現在に至る。

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