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Number 10/14号 朝青龍インタビューを読む(3)

朝青龍インタビューの続き。
今回はとかく物議を醸した「品格」問題について。

―相撲はスポーツではなく、日本古来の神事として始まった歴史があります。
横綱の中では、どんなとらえ方をしていますか?

「スポーツって言ったら、アマチュア相撲はスポーツになっちゃう。
でも、大相撲は伝統。スポーツと半々くらい、いや、伝統の方が多いくらい。
1500年も続いた歴史もある。でも、勝たないと伝統もないからね」

―その伝統の中に、「品格」も含まれますか。

「品格って言葉の深い意味はあんまり知らないけれども、
例えば言いたいことを言わない人間ばかりだと面白くないじゃないですか。
あなたも癖があるでしょ。みんな癖がある。
だってさ、泣く子は悪いって言うけど、みんな生まれてきたときは泣くでしょう。
そこからの成長が大事なんだよ(後略)」


呪わしい「品格」の二文字を突きつけられ、その意味についてはどうにも答えられず、
結局なぜ身につかなかったかを何とか自己弁護しようとする朝青龍。

自己流の品格論をここで滔々と述べてでもくれれば又ヒールとして株も上がるのだが、
いまさら言い訳を繰りかえしてしまうのが、どうにもこの人らしい愛嬌に満ちている。
だからこそ人気もあったのだろうけれど。

「品格」問題との関わりで個人的に興味深かったのは、
当初「悪玉」と認知されてきた朝青龍が、
相撲協会がマスメディアを通して失態を重ねるにつれ、
徐々に世論の中で「善玉」のような役割を担っていったことだった。

旭鷲山とのトラブルで車のミラーをぶっ壊したり、
酔っ払って高砂部屋の玄関を破壊していたころは、
まだ相撲協会や横綱審議委員会は善玉であり、
彼らを足蹴にするかのような朝青龍は稀代の悪玉であった。

ところが時津風部屋暴行事件、八百長問題、麻薬問題、理事選問題、野球賭博…と
協会の旧態振りや管理能力の低さが露呈するにつれ、
かつて「問題児」だった朝青龍は、
いつのまにか悪の巣窟日本相撲協会に牙をむく「反逆児」となり、
周囲の無理解に苦しむ悲劇のヒーローのごとく祭り上げられていった節がある。

実際のところ、相撲協会が組織としてどんなに問題があるにせよ、
朝青龍のこれまでの振る舞いが正当化されるものではない。
団体として管理が行き届いておらず、
その末端で死に至らしめるような暴力や麻薬の常習者が存在していたとしても、
核となる土俵上での力士の振る舞いを指導する資格がないという事にはならない。

警察はどんなに腐敗しても、その腐敗を正しながら日々の治安を守る。
文科省は痴漢をはたらく教師がいても、その教師を処分なり指導なりしながら
子どもを教育し続けていく。
同じ様に相撲協会も、管理体制の不備は不備としてこれを改革しながら、
土俵の充実はまた別個に進めていくことに何の問題もないはずだ。
(なんだか熱くなっているが)

それにしてもどうしてこんな捻じまがった現象が起きたのか。
ひとつには物事をことさら対立関係に仕立てたがる、マスメディアの影響だろう。
彼らは本来指導監督する側とされる側とにあった、協会や横審と朝青龍との関係を、
まるで敵同士のように見立てて面白がり、数字を稼ぐことに血道をあげていた。
まるで会社で上司が聞き分けのない部下を指導している横で、
第三者が楽しげにはやし立てるような、嫌らしい振る舞いにも思われた。

上下の師弟関係ではなく対等な対立関係と見立ててしまえば、
やがて上の者の不備な点が明らかにされると、簡単に攻守は入れかわる。
こうした流れに視聴者ものってしまったし、
見ようによっては朝青龍自身ものってしまったように思われる。

逆にいえば相撲協会にもスキがありすぎたのだろう。
世の人々がマスコミというおもちゃ箱にいつもストレスのはけ口を求めている中では、
どんな組織だってちょっとしたほころびから何時だって袋叩きにあいかねない。
そうした世の風潮を甘く見ていた協会は、記者たちにとって格好の餌だったようだ。

さらに捻じまがった状況を生んだのは、やはり「品格」というこの厄介な言葉だろう。
はじめ協会や横審が発していたこの大仰な単語は、
協会が醜態をさらすにつれて、返す刀のようにその身に突き刺さってきた。
つくづく因果な言葉であった。

わたしは一相撲ファンとしては、
面倒な品格論争など正直どうでもよかった。
過去の横綱たちがみな品格に満ちていたかといえば、
そうでもなかったように思われるし。

朝青龍にはただ「おすもうさん」らしく、
勝っても負けても坦々と振舞ってくれさえすれば
それで十分だったのだが。


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テーマ : 大相撲
ジャンル : スポーツ

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プロフィール

うぃぬっ

Author:うぃぬっ
相撲の好きな犬。新潟県在住。近眼。千代の富士の時代に相撲を見始め、若貴時代はヒネくれていたのであまり見ず、朝青龍のときにまた見始めて現在に至る。

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